こぺんはーげん将軍の旅日記

陸マイラーの旅日記を中心に備忘録なども

コロナウイルスのPCR検査を増やす意味はあるのか?

コロナウイルスPCR検査を増やせ増やせという声がTVで大きくなり、世間でも大きくなりつつあります。政府も検査数を増やすと言っています。

個人的見解は、「PCR検査数を増やすべきだが現実的ではない。ワイドショーで騒ぐように持病持ち・高齢者全員を検査しろというのは言語道断」です。

私は医療関係の専門家ではなく素人ですが、専門知識がなくともこの見解に行きつくのは不思議ではないと思います。

 

なぜPCR検査数を増やすべきか

PCR検査を受けた方がいい症状が出ている人が検査を受けられないのでは検査数が足りていないと言わざるを得ないでしょう。検査を受けられずに亡くなり、その後陽性でしたという案件がいくつか出てましたから、ここに異論はないでしょう。

 

政府もPCR検査実施基準は「37.5度以上の熱が4日以上」と明確に示していたのに、それを守ったために亡くなる方が出てからは、国民および保健所に「37.5度以上の熱が4日以上」なければ検査を実施しないという誤った解釈をされてしまった、と責任転嫁をされております。その後、「37.5度以上の熱が4日以上」を変更しましたが……

ここまで日本らしいやり取りを政府が全国に公開したのを見て、責任転嫁と責任逃れはやはり日本の国技だなあと得心しました。

 

なぜPCR検査数が増えないか

物理的にできないからですね。

  • 検体採取
  • 検査(手作業多し)

医師も検査技師も保健所も病院も、大量の短納期の仕事を捌ける体制ではありません。

 

検体採取に手間がかかる

まず、どこででも検体採取ができるわけではない。

検体採取は、1人実施ごとに防護服・マスク・防護具を交換し、診療室を消毒する必要があります。

ということは、多数の検体を採取するには検体採取箇所を増やすしかありません。保健所だけではなく、大病院を含めても足らず、クリニックでも実施したいところですが、そうは問屋が卸しません。

コロナウイルス以外の受診に影響が出ない範囲でするしかありません。それを押して検体採取をするならば通常の受診が滞り、開業医が経営するクリニックは経営が立ち行かなくなる可能性があります。

 

防護服などが足りない

致命的ですね。病院がマスクを使いまわすなんて通常はありえない事態になっているのに、検査のたびに使い捨てというのは難しいでしょう。

ドライブスルー検査も同じ理由であまり意味はないでしょう。仮に防護服類が足りていて検体採取できても次の検査で詰まります。

 

保健所を減らしている自治体もある

維新が大阪府大阪市を牛耳るようになってから徹底的に無駄を削りました。

保健所も減らしています。当時は数々の削減が絶賛されましたが、その結果、コロナウイルスへの対処に悪影響が出ています。緊急事態を考えれば削ってはいけなかったということでしょう。他にもこういう自治体はあるでしょう。

事業仕分けを思い出しますね。

病院を減らしたイタリアが地獄絵図になったこともこれと似ていますね。

  • 保健所を減らした大阪
  • 病床を減らしたイタリア
  • CDC予算を削ったアメリ

もしもの対策費用から削られるのは世の常ですが、大体痛い目に遭います。

痛い目に遭ってから、なんで削ったんだと言われるのも世界の法則ですね。

首都圏外郭放水路はやぶさの数々の対策は褒められていましたが、こういうのは褒められにくいものです。

 

病院の運営がまずく、勤務医の限界を超えて働かせている

大きな病院の医師は常に限界を超えた労働をしており、通常業務だけで慢性的に破綻している。労働基準監督署も病院とは随分仲良しなようです。

さすがに、毎月100時間までOKとか公式にやっちゃうと指導を入れたようですが。

通常業務に加えて、パンデミック物の感染症が襲ってきたら病院運営は立ち行かなくなります。検体採取をやる余裕はないでしょうね。

医師を増やす必要があるけれども、すぐには増えません。医学部の定員を増やすところから始まるので、戦力となる医師が増えるには最低でも10年くらいかかるのかな?

ちなみに医学部の定員は減っています。あれ?

医療費削減のためかな?

医療費削減に関しては病院を喫茶店代わりに使ったり、大したことないのに大病院に行きたがる人を減らすのが最初のアクションだと思いますが……。

 

検査は手作業が多く、検査技師の作業量に限界がある

PCR検査は届いた検体を機械にセットして終わり、ではないようです。

手作業満載です。

www.youtube.com

 

つまり、検査技師の人数が急に増やせない以上、急には増やせません。

緊急的に他の人もこの作業をできるようにすると精度が下がります。悪手です。

 

 

高齢者・持病持ち全員をPCR検査すべきでないのはなぜか

そんなに大量のPCR検査はできない

これは上で書いた通りです。

 

信用できない検査結果になる

検査精度がいくら高くても、検査した集団の感染率が低いと陽性判定が信用できなくなります。これが意味するところは、入院人数が増えて病院の負荷が大きくなるということです。

逆に、陰性判定は検査した集団の感染率が高いほど信用できず、陰性判定を貰った感染者が感染を広める例が増えてしまいます。

もちろん、検査精度が下がると検査した集団の感染率が高くても低くても信用できない検査結果になります。

 

感染濃厚者に絞った場合(今の方法)・東京想定の陽性率40%

東京が累計で大体40%なので、検査精度99%とするとこうなります。

陽性判定のうち、1.5%は実は感染していません。

逆に陰性判定のうち、0.7%は感染しています。

この通りだとすれば、検査結果をそのまま信じても問題ありません。

東京01

さて、ここで注目すべきは実際の感染率が40%なのに、検査で出てくる陽性率は40.2%と実際よりも大きくなりますが、誤差が小さいのでひとまず置いておきます。


ニュースなどを見ていると、検体の取り方で感染していても陰性と判定されたりするなどと言われています。検体採取を鼻か喉か、あるいはどちらもウイルスが少ないから陽性にならない……etc

他にも検査技師が疲弊して精度が下がることもあるでしょう。

 

そういう影響を考えると検査精度が下がります。100-(陽性率/2)=80%まで精度が下がると仮定するとこうなります。

※検査精度が何%下がるかの根拠はありませんが、計算してみてありえそう数字を持ってきているだけです。下げすぎかもしれませんが……。

大阪02

陽性率は44%です。東京の陽性率40%というのはこの見かけ上の感染率のこと(=感染しているかどうかに関係なく、検査結果が陽性)です。

つまり、検査精度80%だとすると実際の陽性率はもっと低いことになります。

※検査精度が下がりすぎると見かけの陽性率(=検査結果陽性の割合)が実際の陽性率も上がりすぎるので、どんなに検査精度80%を下回ることはないでしょう。仮に精度60%だと感染率0%でも陽性率40%になります。

 

ということで、陽性率が大体40%になるような感染率は、

検査精度90%なら37%、検査精度80%なら33.5%です。

※計算のしやすさを正確さよりも優先した結果、ぴったり40%の陽性率ではなくなっています。

東京02
東京03

精度90%だと陽性判定のうち約16%、精度80%だと約33%は実は感染していません。

実はそこまで正確な検査ではないことがわかります。
精度90%だと陰性判定のうち約6%、精度80%だと約11%は実は感染しています。
陰性だと安心して、感染者を増やしている人がかなりいるはずです。

(この前提が当てはまるなら)東京だと2020/5/7時点で大体500~900人ですね。

 

うまっている病床の16%~33%くらいはは余計に圧迫されていることになります。

東京だと2020/5/7時点で2679人入院(ホテルや自宅療養を含む)しているので、(この前提が当てはまるなら)430~900人くらいは実は陰性だということになります。

そして、陰性判定はあまり過信してはいけないことがわかります。

 

感染濃厚者に絞った場合(今の方法)・大阪想定の陽性率20%

大阪が累計で大体20%なので、検査精度99%とするとこうなります。

陽性判定のうち、3.9%は実は感染していません。

逆に陰性判定のうち、0.3%は感染しています。

この通りだとすれば、検査結果をそのまま信じても問題ありません。

大阪01

陽性率が20.6%ですが、誤差が小さいので無視します。


しかし、上で書いたような要因で100-(陽性率/2)=90%まで検査精度が下がると仮定するとこうなります。

検査精度95%だと感染率17%、

検査精度90%だと感染率12.5%です。

※同じく、正確さよりも計算しやすさを重視したので陽性率がぴったり20%ではありません。

大阪02
大阪03

精度95%だと陽性判定のうち約20%、精度90%だと約44%は実は感染していません。

陽性率が下がると、検査精度が高くなっても検査結果の信用性はそこまであがりません。

精度95%だと陰性判定のうち約1%、精度90%だと約1.6%は実は感染しています。
陰性はそこそこ信用できそうです。

(この前提が当てはまるなら)とはいえ、大阪だと2020/5/7時点で80人前後は安心して行動すると感染を広げてしまうことになります。

 

うまっている病床の20%~44%くらいはは余計に圧迫されていることになります。

大阪だと2020/5/7時点大体1000人が入院しているので、(この前提が当てはまるなら)200~440人は実は陰性ということになります。

陰性はそこそこ信用できます。



感染濃厚者に絞った場合(今の方法)・特定警戒地域(東京と大阪を除く)想定の陽性率10%

神奈川・埼玉・千葉・などの特定警戒地域だと累計で大体10%(多少前後しますが)なので、検査精度99%とするとこうなります。

特定警戒01

陽性判定のうち、8.3%は実は感染していません。

逆に陰性判定のうち、0.1%は感染しています。

この通りだとしても、陽性結果はちょっと偽陽性が多いですかね?

おおむね検査結果をそのまま信じても問題ないとは思いますが。

※陽性率10.8%と誤差が大きくなってきましたが、面倒なので無視します。

 

 

しかし、上で書いたような要因で100-(陽性率/2)=95%まで検査精度が下がると仮定するとこうなります。

検査精度97.5%だと感染率8%、

検査精度95%だと感染率5.5%です。

※同じく、正確さよりも計算しやすさを重視したので陽性率がぴったり20%ではありません。

特定地域02
特定地域03

精度97.5%だと陽性判定のうち約23%、精度95%だと約47%は実は感染していません。

陽性率10%だと陽性判定はかなりあやしくなります。
精度97.5%だと陰性判定のうち約0.2%、精度95%だと約0.3%は実は感染しています。
逆に陰性判定の信用度は上がります。

 

うまっている病床の大体23~47%は余計に圧迫されています。

2020/5/7時点で北海道は490人、神奈川だと476人が入院しているので大体120~240人は実は陰性です。



高齢者・持病持ち全員をPCR検査するとどんな結果が予想されるか

そこそこ感染者が出ている4月末(でしたっけ?)神戸で抗体保持率が約4%、地獄絵図のNYで25%?、3月のドイツのとある都市で15%となっていましたが、日本全体だと神戸市よりも低いのは間違いないでしょう。

ということで日本全体の感染率を1%としましょう。

高齢者と持病持ちを4000万人としましょう。

4000万回は検査しないといけませんが、2~4月の3カ月で約200万しか検査できていないのですが……。今から、感染が濃厚な人がほぼ0になると仮定しても、このペースだと4000万回の検査が終わるのは5年後ですね。

この検査をすべきだと騒ぐ人は2~3カ月でやれという意味合いでしょうから、これまでの20~30倍のペースで検査をすることになります。

検査精度99%でもこうなります。

最悪01

約80万人が陽性判定され、本当に感染しているのはその50%です。
80万床も確保するのは大変ですよ……。3カ月で検査してしまうなら毎月27万床ですが、それでも不可能でしょうね。

 

20倍のペースなんて無理ですから、現実的なのは1.2~1.5倍でしょうか?

これだと3~4年ですが、このペースで3年は無理でしょう。限界を超えたペースですから、徐々に人が壊れ始めてペースが落ちるのは間違いないです。

仮に誰も壊れないとしても、疲弊しきって検査精度は落ちるでしょうね。

80~90%まで落ちてしまうとこうなります。

最悪02
最悪03

検査精度90%だと陽性判定432万人のうち本当に感染しているのは約8%です。
検査精度80%だと陽性判定824万人のうち本当に感染しているのは約4%です。

大体、毎月8~16万床の確保が必要です。

馬鹿馬鹿しくなりませんか?

 

まとめ

  • 今のペースよりはPCR検査を増やした方がいい
    ただ、現実的にはそこまで増やせなさそう……
  • 検査精度が99%とはいかず、いくらか下がってるとすると東京は偽陰性が結構出て、偽陰性が感染を広げている可能性あり。
    どの都市も、偽陽性が結構出ており、病床を圧迫しているはず。
    ※計算例は少し検査精度を下げすぎているかも
  • 高齢者・持病持ちの全員をPCR検査なんて思いつきをやれというのは何も考えていない。現実的かどうか、現場で動いているのは人間なんだということを考えてほしい。

 

医療従事者へ拍手を送ったり、ありがとうと伝えるのはすばらしいことですが、それだけではどうにもなりません。

「人間はありがとうだけで食べていける」わけではないのです。命の危険と隣り合わせの中で通常(=過剰労働気味)よりも過酷な労働に身を投じるのに「ありがとう」だけでは割に合わないでしょう。

充分な危険手当なり、亡くなった方に対しては遺族手当なり、それくらいは政府がしてくれることを祈っています。

彼らに宝くじが当たることを祈る方が可能性が高いかもしれませんが。